20251108 高校選手権決勝トーナメント準決勝 磐田東高校
○ 2−0 水谷 岡田
会場:草薙陸上競技場
[選手権]目標は国立4強以上。後半にギアを上げ、ボールとゴールを奪いに行った浜松開誠館が夏冬静岡2冠へ王手

浜松開誠館が夏冬静岡2冠へ王手! 第104回全国高校サッカー選手権静岡県予選準決勝が8日、静岡市の草薙総合運動場陸上競技場で行われ、浜松開誠館高と磐田東高が対戦。浜松開誠館が2-0で勝ち、藤枝東高との決勝(11月15日)進出を決めた。
これまで中部勢の厚い壁に阻まれてなかなか実現してこなかった県西部勢同士による準決勝。3年ぶり3回目の選手権出場を狙う浜松開誠館(プリンスリーグ東海)は今年、初出場のインターハイで16強。この準決勝では、GK吉田壮馬(3年)、DF岩瀬琢朗(3年)、礒部舜也(2年)、ゲーム主将の水谷健斗(3年)、鈴木翔湧(2年)、MF加藤涼(3年)、間渕壱咲(3年)、岡田瑛太(3年)、古橋藍伍(2年)、FW田窪悠己(3年)、宗像玲瑠(2年)の11人が先発した。
一方の磐田東(静岡県1部リーグ)は準優勝した県新人戦、3位のインターハイ予選に続く4強入り。GK小澤周央(2年)、DF平野颯(3年)、松崎蹴隼(3年)、ゲーム主将の原崎晄(3年)、藤田峻(3年)、鈴木海生(2年)、MF上原徹平(3年)、遠藤有眞(3年)、加藤侍大(3年)、鈴木泰翔(3年)、FW松尾亮弥(3年)の11人で、選手権予選では30年ぶりとなる準決勝に挑戦した。
前半、浜松開誠館は風下だったが、立ち上がりに加藤がドリブルから左足を振り抜くと、13分にも加藤の展開から岡田がドリブルでDFを剥がしてラストパスを狙う。岩瀬から縦パスを差し込み、加藤らを経由してサイドへボールを動かすと、宗像と岡田の両翼がドリブル突破にチャレンジ。また、礒部や鈴木らDFラインの選手を中心に各選手が声を掛け合いながら集中して試合を進めていた。
17分には左スローインから加藤がカットインして右足ミドル。コースを捉えたが、磐田東GK小澤が横っ飛びで弾き出す。浜松開誠館は直後にも左CKのこぼれを岩瀬が左足で狙うが、枠を捉えることができない。
一方、磐田東は押し込まれる時間帯もあったが、前から相手に制限を掛け、原崎と松澤の両CBやMF鈴木海を中心に相手の攻撃を跳ね返していく。山田智章監督が試合のポイントに挙げていた立ち上がりの20分間を0-0で乗り切ると、徐々に流れを引き寄せていった。ボールを奪うと、前線の加藤、松尾のキープ力やクオリティの高いパスワークを活かして前進。28分、スローインを挟んで3連続でCKを獲得すると、直後には加藤や鈴木海がミドルシュートにチャレンジする。
32分には、前線でターンした松尾が強烈な右足シュート。さらに跳ね返りを藤田が左足ダイレクトで狙ったが、いずれも浜松開誠館の注目GK吉田に阻まれた。磐田東は38分にも縦パスを鈴木泰が足裏での1タッチパス。これを加藤がダイレクトで狙うが、この一撃も相手GK吉田に止められてしまう。
先制機を逸した磐田東に対し、浜松開誠館は後半にプッシュ。青嶋文明監督は「前半、風も強かったですし、ちょっと受けるのはもう分かっていたので。そういう中で、上手く選手が修正点をしっかりとやってくれたかなと思います。コーチからプレスの掛け方の変更の指示と、あとはもうちょっと躍動させるというか、積極的にプレーさせるっていうか、どうしても勝ち急ぐんで、ミスを怖れずにっていうようなところは言いました」と説明する。 やや相手を見てしまっていた部分のあった前半から、後半は田窪と間渕の2トップを筆頭に、よりボールを奪いに行った。すると、古橋、加藤が回収する回数を増加。吉田が「ロッカールームで、『ここ1個ギア上げていくぞ』っていう話だったんで。風も自分たちの追い風になったんで、ギアが上がって良かった」と振り返り、加藤も「しっかりボールにアタックして、ボールを奪って自分たちのペースを握るっていうことができたので良かったです」と頷く内容で相手との差を生み出した。
また、後半開始から宗像と10番MF川合亜門主将(3年)を入れ替えた浜松開誠館は4分、岡田の左クロスのこぼれをPA外の水谷が右足ダイレクトで撃ち抜く。ややアウトにかけたボールがゴール左隅に決まり、先制点となった。 FW石川柚友主将(3年)とMF佐藤晴斗(3年)の主軸2名を欠く中で奮闘する磐田東も平野の左クロスに松尾が飛び込むが、浜松開誠館CB礒部が最後まで身体を離さずにブロック。磐田東は加藤のスルーパスから松尾が左足シュートへ持ち込むなど2トップを中心に攻め切る力を見せていた。だが、浜松開誠館は最終ラインで身体を張り続けるCB岩瀬やCB礒部を中心に守備で寄せることや、相手に付いて行くこと、戻ることを徹底して簡単には決定打を打たせない。
磐田東は19分、鈴木泰をFW袴田琉聖(3年)へ交代。だが、次の1点を浜松開誠館が奪う。後半22分、間渕の右クロスを中央の岡田がダイビングヘッドで決めて2-0。1点目同様、クロスを逆サイドの選手が仕留める形で点差を広げた。
浜松開誠館は26分に怪我明けのMF服部洸太郎(3年)とFW松下蓮(3年)を投入。磐田東もFW高田心羽(2年)を加える。浜松開誠館はスピーディなパスワークやドリブルで運ぶことにもチャレンジしていたが、終盤はミスも増加。それでも、守備への切り替えの速さ、強度の高さでリードを維持していた。
浜松開誠館は今夏のインターハイで山梨学院高の注目FWオノボフランシス日華(3年)に2点を奪われて0-2で3回戦敗退。相手の強力な個に屈する形となったが、青嶋監督は「やっぱりもうインテンシティとトランジションのところですね。もう、そこです。そこでもう勝負するって決めてシーズンやってるんで」と語ったように、敗戦から改めて自分たちの基準を上げて武器を磨いてきた。
吉田は「全国で自分たちの弱さだったり、基準が低いってことが分かったんで、そこはしっかりプラスに変えて日頃からトレーニングができてるんで、良いかなと思います」と分析する。
また、日常からの競争によって、主軸が怪我でも勝ち切ることのできるような厚い選手層を持つチームに。指揮官も「競争を促しながら、選手がそれに応えてくれてるんで、現場としては嬉しい、ありがたいですね」と目を細める。終盤、浜松開誠館はMF志賀朋希(2年)とMF水野斗葵(3年)を投入。磐田東もFW寺田礎生(2年)を加えて反撃したが、ゴールを破ることはできなかった。
浜松開誠館は後半にギアを上げて強さを示し、西部勢対決を2-0で勝利。夏冬連続の全国大会出場に王手をかけた。だが、加藤は「自分たちはチームの立ち上げから国立でプレーするっていう目標を掲げているんですけど、まだまだ国立行くためには足りていない。もっともっと上を目指せないといけないっていう部分はあると思うので、現状に満足せずにもっともっと向上していけたらなと思います」と前を向く。
吉田も「自分たち国立でプレーすることが目標なんで、そこまではしっかりと勝って、国立で勝てるようにやっていきたいなと思います」。選手権で国立4強以上に勝ち上がるためには、まだまだチーム力を向上させなければならない。決勝の対戦相手はインターハイ予選決勝と同じ藤枝東。名門校を再び突破して夏冬連覇を果たし、目標への第1関門を突破する。










