天皇杯優勝!10期生須貝英大選手

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甲府23歳DF須貝英大が決勝でも120分フル稼働!!「甲府がここに立つとは…」長年愛する地元クラブで天皇杯V

甲府23歳DF須貝英大が決勝でも120分フル稼働!!「甲府がここに立つとは…」長年愛する地元クラブで天皇杯V

[10.16 天皇杯決勝 甲府 1-1(PK5-4)広島 日産ス]

 明治大出身2年目の23歳DF須貝英大が、ヴァンフォーレ甲府に歴史上初のビッグタイトルをもたらした。甲府市の隣の中央市で生まれ、幼少期からクラブを応援していた生粋の地元選手。決勝戦では3バックの右と左ウイングバックで120分間フル稼働し、優勝後には「ヴァンフォーレ甲府の一員として日本一を獲れたのが本当に嬉しい」と喜びを語った。

 須貝は明治大在学中の2020年9月、甲府の特別指定選手としてJリーグデビュー。正式なルーキーイヤーとなった昨季途中からレギュラーに定着し、18試合に出場すると、今季はW杯開催による連戦が続く中、3バックの一角やウイングバックでチーム2位の38試合に先発し、押しも押されぬ中心選手となった。

 そんな須貝は天皇杯でもいかんなく存在感を発揮し、3回戦の札幌戦、準々決勝の福岡戦、準決勝の鹿島戦にフル出場。強度や運動量ともに負担の大きなポジションを担い続け、躍進の原動力となっていた。

 そうして辿り着いた決勝の舞台。かつての須貝には「想像できなかった」ような光景が目の前に広がっていた。

「小さい頃は甲府が出るというよりはお正月に見るサッカーの試合みたいな感じで、甲府がここに立つとはあまりイメージできていなかったし、まさか自分がここに立つことも想像していなかった」。日産スタジアムの広いゴール裏には2階まで埋め尽くすように大勢の甲府サポーターが集結。愛するクラブを応援する未来すら思い描くことが難しかった場所で、絶対的な中心選手としてピッチに立った。

 相手は天皇杯だけでなく、ルヴァン杯でもカップファイナルにたどり着いている広島。就任1年目のミヒャエル・スキッベ監督の下、ハイクオリティーな選手と高強度の戦術を両立しているJ1の強豪だ。

「とにかくまずは1対1で負けないこと。いろんなチームの戦術はあるけど、結局個で負けると意味がない。ディフェンスとして入れ替わったり、相手に置き去りにされることはなしにして、とにかく集中して、後ろの選手で声を掛け合いながら、フルタイムプレーすべきだと意識していた」

 全体の力量差は織り込み済みだが、フィールドに入ればみなが一選手。須貝はそんな決意のとおり、夢舞台に立つにふさわしいパフォーマンスを発揮した。前半は右ストッパーとして同期入団のDF関口正大と絶妙な距離感を保ち、球際の強度も見せながらMF満田誠やMF柏好文とのマッチアップで攻守に圧倒。終始優勢に試合を進めつつ、セットプレーから先制点も奪ったチームの突破口となった。

 また後半途中からは選手交代を受け、左ウイングバックにポジションを移動。相手も時間を追うごとに圧力を高め、そのうえ右サイドにテコ入れを行ってきた中、自由にさせない対人対応が目立った。そして延長戦ではペナルティエリア内で鬼気迫るシュートブロックを見せ、チームを救う場面も。試合はPK戦での勝利となったが、J1強豪相手に堂々の120分間を演じた。

「押し込まれる時間帯は長かったけど、一人一人がポジションに戻ったり、しっかりシュートブロックに入ったり、キワのところで身体を張って、一歩寄せることがチーム全体でできていた。個の能力は絶対的に相手が上だった中、自分たちは泥臭く、守ること、勝つことに集中してプレーできたのでそれが結果につながって嬉しく思っている」

 試合後のミックスゾーンではチームメートの献身性を誇った須貝。その一方、自身のパフォーマンスについては控えめな評価だった。

「今日の前半はある程度、自分たちのサッカーができていたけど、やっぱり相手もJ1チームで、自分自身としてはあまり満足していない。もっとやらないといけないと感じた」

 見据えていたのはJ1と同じ基準。「ボールを奪い切る力もそうだし、守備だけでなく攻撃にも関われる選手が必要。個で打開できる力であったり、安易に蹴ることが多かったので、もう少し状況を見てできたんじゃないかと思っている」。準決勝の鹿島戦、決勝の広島戦と強豪相手に「できた部分はあるので、そこは自信に変えていきたい」としながらも、成長意欲をたぎらせていた。

 それでも集まった地元から集まったサポーターに話が及ぶと、自然と頬はゆるんでいた。

「今季はリーグ戦なかなか勝つ試合を見せることができず、毎回落ち込んだ姿しか見せられていなかった。サポーターの人も喜べた回数が少なかった中で、こうやって日本一を獲ることによって、あのような瞬間で全員で迎えられて、喜びを分かち合えて本当に良かった」

「甲府でしかやっていないので他のチームがどういう感じかはわからないけど、小さい頃から応援してきた中で、地域密着でサポーターと選手が一体となって、泥臭く勝ちにこだわって頑張るのが甲府の良さ。本当に幅広い年齢層がいる中で、この瞬間をたくさんの人と迎えられたことが本当に嬉しい」

 何よりそうした光景を実現させることは、須貝が甲府への加入を選んだきっかけでもあった。

「地元選手が活躍することによって応援してくれるサポーターが増える。そこが自分が甲府を選んだ一番の決め手だった。地元に戻ることによってサッカー選手としての価値を一番見い出せると思って甲府にしたので、天皇杯優勝という結果を残せたことを嬉しく思う」。

 “県民80万人の想いはひとつ 天皇杯を甲斐の国 山梨へ”。大きな思いの込められた横断幕が踊った横浜の地で、その象徴となった23歳が新たな歴史を切り拓いた。

(取材・文 ゲキサカ 竹内達也)

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